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2015-03-28 12:05 | カテゴリ:AA
(※断酒34日目/退院まであと9日)
 今日から看護実習の学生さんが3人、5ーB病棟にやって来た。先日まで小児科で実習をして、今度は精神科での実習となったのだという。20歳、21歳、26歳の女性で、午前中に牛本主任に伴われて各病室を回り挨拶をしていた。
 53号室にも4人で現れたが、この時点ではまだどの学生さんが黒部さんの担当になるかは決まっていなかった。病室に3人分の椅子を置いて学生さんを座らせると、主任は「あとはよろしく」とばかりに出て行ってしまった。フェローシップというのか、僕を含めて病室にいた患者とまんべんなく世間話をさせられ、短い時間話しては主任が呼びに来て席を替わらせ学生さんをチェンジするという、なんだかキャバクラみたいな状態だった。
 黒部さんは平静を装ってはいるものの、明らかに落ち着かない様子で、僕は米窪さんと遠巻きにその姿を眺めては面白がるという、悪い趣味に興じた。
 午後のレクでは3人ともミニバレーに参加してもらい、蒸し暑い体育館で一緒に汗をかいた。最終的に、桑田さんという26歳の学生さんが黒部さんを担当することに決まった。実習生は金曜の料理にも参加するのだが、黒部さんは「オレはやらねえよ」と早速素直じゃないところを見せていた。

 昼食は、昨日話してあった通り、地元へ一時帰宅する浅尾さんの分をまるまる一膳、「本人直々の頼み」でいただくことになった。メニューは、鰆のアーモンドフライに麻婆豆腐、丼ごはんと味噌汁、デザートのバナナ。これを自分の分と合わせて2膳とは豪勢なランチだ。米窪さんが、
「あなたの食欲もたいしたもんだねえ。たくさん食べるのはいいことだけど」
 と、半ば呆れていた。自分でも驚いたが、お酒を飲まない僕は大食漢のようだ。
 僕に昼食を託した浅尾さんは、昼前に迎えに来た妹さんと病院をあとにした。
「面白いから浅尾さん、ベロベロに酔って帰って来てください」
 僕が悪態をつくと、
「サトウさん、やめてください。それはないですから」
 と浅尾さんは苦笑していた。


 週末から外泊していたはずの植中さんが、帰院したと思ったら詰所で何やらバタバタしている。誰かが「植中さん、急遽退院することになったみたい」と言っていた。実は前から決まっていたのか、本当に突然退院になったのか、僕らには何も言わずに荷物を背負ってふらっと出て行ってしまった。それはそれでまた、植中さんらしいのだが。
 山形さんも、退院が来月6日に決まったそうだ。しばらくはデイケアに通いながら生活保護を続け、ハローワークで仕事を探すという。眠剤の飲み過ぎが心配だが、なんとか仕事が見つかることを願うばかりだ。


 夕方、AA「ちかぷ」のミーティングへひとりで出かけた。先日の合同バースデーもひとりで向かったが、AAの通常ミーティングで、病院の患者は誰もおらず、しかも初めての会場へひとりで行くのはこれが本当に初めてだ。
 会場の東町カトリック教会へは電車で最寄り駅まで行き、地図を片手に徒歩で向かう。方向音痴の僕だが、迷うことなく辿り着いた。比較的小綺麗な、教会らしい教会だった。2階にある和室がミーティングの会場で、窓からは吹き抜けになった聖堂が見下ろせる。僕はジアゼパムを飲んでいたし、知った顔もあったとは思うが、落ち着きのなさは隠せなく、終始居心地が悪かった。
 それでもいつものように、簡単な自己紹介と、飲んでいないとうまく集団に交われない自分について話した。今この瞬間も、取って食われるんじゃないかというくらい緊張している、とも話した。

 ミーティングが終わって後片付けを終えると、早々と挨拶をして逃げるように下へ降りた。
 ―― まあ、今日はこんなもんでいいだろう。
 そう自分に言い聞かせて玄関へ出ると、ミーティングに参加していた中年男性がいた。挨拶をして帰ろうとすると、いきなりその男性からこう言われた。
「あんたは、アルコール依存症じゃないよ」
 何と返していいか分からずにいる僕をよそに、男性はそのまま自転車に乗って帰って行った。急に怒りが込み上げてきたが、すぐにやりきれない気持ちになってしまった。
 何でそんなこと、今日初めて会った人に言われなきゃならないのだろう。僕がアルコール依存症じゃないのなら、僕がこれまで必死でやってきたことは、何に対してのものだというのか。あそこで咄嗟に何も言えなかったことも情けなかった。
 なんだかとてもみじめな気分だった。夜の道を駅へ向かって歩きながら、いろいろ頭で考えた。

 無性にお酒が飲みたくなった。それでも堪えた。ここで飲んではいけない。なぜなら僕は、アルコール依存症なのだから。


※文中における、病院および病院関係者氏名・団体名、地名等については、すべて仮名とさせていただいています。


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【ジャンル】:心と身体 【テーマ】:禁酒
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