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2015-03-26 13:42 | カテゴリ:AA
(※断酒31日目/退院まであと12日)
 毎月第2土曜日はAAの合同バースデーが催される。この街で活動するAAグループが、各グループメンバーの1日、1ヶ月、3ヶ月、半年、そして年単位の断酒をバースデーとして祝う合同イベントなのだそうだ。
 今月は「オオタカ」が仕切りを担当するとかで、優二さんは準備のためひと足先に会場へ向かった。午後6時半から東町の地区会館で行われるというので、僕はひとりで病院をあとにした。
 電車を降りてしばらく歩き、無事会場へ着く。2階の会議ホールには50~60人くらいの参加者が集まっていた。普段のミーティングのようにテーブルを四角く囲んで向かい合うのではなく、前方の司会者席に参加者が相対する形で会議テーブルが何列にも並べられている。司会者席にはカイさんが座り、優二さんら「オオタカ」のメンバーが慌ただしく準備をしていて、声をかける隙もない。
 知った顔はいくつもあり会釈は交わすが、どこへ座っていいか分からない。突っ立っていると、最後列のテーブルに着いていた「タケシ」さんと「シンゴ」さんという顔見知りに声をかけられ、隣に座らせてもらった。僕より少し年上のこのふたりとは「オオタカ」や「つぐみ」のミーティングで何度かご一緒していて、ふたりとも中間施設に入所している。また、その中間施設が運営するAAグループ「ヒナドリ」のメンバーでもある。タケシさんは気さくで話好き、反対にシンゴさんは無口で強面な印象だ。

 会が始まり、カイさんの進行でバースデーを迎えた各AAメンバーの紹介とメダルの贈呈が行われ、スピーチへと移る。年単位の方へは寄せ書きも贈られるため、バースデーを迎えた方がスピーチしている間もひっきりなしにサイン帳だの色紙だのが回って来る。既にAAのミーティングで一筆書かせてもらったものも混じっているため、自分が記入済みかどうか確認するのに忙しく、スピーチを聴くどころではない。バースデーを迎えた方とはまだ何の面識もないからこういうことになるのだが、仕方がない。
 優二さんが、スピーチをする方にマイクを持って行く係で慌ただしく働いている。そんな中で僕を見つけて「よく来たね」と声をかけてくれた。
 途中、僕の前にケーキが回って来た。紙皿に乗ったちょっとしたお菓子はすべてのテーブルに渡るのだが、ケーキはさすがに全員には行き渡らないので、当然バースデーを迎えた方が優先となる。僕は遠慮したかったが、隣でタケシさんとシンゴさんに勧められた。善意なのだが、シンゴさんのTシャツの袖からちらちら覗く派手な刺青が「食え」と威圧している気がしてならない。むげに断れず、ありがたくケーキをいただいた。

「サトゥーさんは、いつもそんなに顔色が悪いの?」
 藪から棒に、タケシさんに訊かれた。
「集団が苦手なんで、緊張してるんです」
「でもそんなんで、役者なんかできるの?」
「それは別なんです」
 AAのミーティングで既に話しているため、僕が芝居をしていたことは多くの人が知っている。ただ、舞台に立つ人間がどうして集団を苦手にしているのかを分かってもらうのは、なかなか容易ではない。

 会の最後は、断酒から30年という、ほとんど伝説のような男性がスピーチに立った。御歳77。30年もお酒から遠ざかっているのに、これでも「アルコール依存症」なのだから、実に厄介な病気なのだと改めて思う。

 午後8時、平和の祈りで合同バースデーは閉会した。僕は後片付けを手伝ったあと、優二さんに挨拶してひとりで会場を出た。行きも帰りもひとりというのは、棒にとって初めての経験だ。
 見事に道に迷い、ひとつ隣の駅からの帰院となった。


※文中における、病院および病院関係者氏名・団体名、地名等については、すべて仮名とさせていただいています。


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【ジャンル】:心と身体 【テーマ】:禁酒
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