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2015-03-18 13:22 | カテゴリ:学習会
(※断酒26日目/退院まであと17日)
 スマートホンのマイクロSDカードを壊してしまったので、保存してある写真データをすべて失ってしまった。新たに保存することもできないので、午前中に実家へ一時帰宅して部屋を探してみた。まさかとは思ったが、やっぱり予備のものなんてなかった。仕方がないのでそのまま徒歩でスーパー柏ノ丘店まで行き、いちばん現行のものに近い2GBのカードを買って病院に戻った。


 2時からの学習会はいよいよ今日が11回目となる。僕の退院までにはまだ1回あるが、入院して最初の学習会からこれで一周、1クールの最後ということになる。
 日程表のタイトルは『⑤ アルコールがつくる心の病気 ~その1~』。先月9日の学習会に続いて病院長が担当する。プリントとスライドでのレクチャーだが、冒頭、院長が「私の好きな文言」として以下の言葉を示した。

 初め人 酒を飲み やがて酒 酒を飲み ついには酒 人を呑む

 飲酒のコントロールを失い、お酒を飲むことで更なる飲酒を招いて、やがてお酒に呑まれてしまう。アルコールの危険を言い得た文言で、まさしく僕らのことだ。
 次に院長はスライドを使い、お酒の問題を抱えていたとされる著名人を挙げた。


○美空ひばり
 言わずと知れた国民的歌手の人。1989年に52歳で死去。死因については憶測が飛び交うが、重度の慢性肝炎と『大腿骨頭壊死症』という病気にかかっていたとう。これはアルコールが要因のひとつと考えられ、大腿骨への血流が妨げられて股関節の機能が失われる病気なのだそうだ。院長の意見では、美空ひばりはアルコール依存症が疑われる、との話だ。

○藤沢秀行
 棋聖戦6連覇を成し遂げた囲碁棋士の人。本人曰く「大一番の前には酒を断ち、そのときに現れた化け物に打ち勝つことで、七番勝負に勝つ」。言ってることは完全にアル中の離脱症状だが、結果を出しただけに名言扱いされる。2009年、83歳没。

○寛仁親王
「ヒゲの殿下」で有名。メディアでは三笠宮とも報道される。皇族でありながらアルコール依存症の診断を受けたことを自ら発表、なんとAAにも通ったという。2012年、多臓器不全のため66歳で薨去。院長の話では、ご本人もさることながら「主治医が凄い」。

○エリザベス・テイラー
 英国生まれ、紫色の瞳を持つ美人女優としてハリウッドで活躍した人。8回の結婚と7回の離婚を経験したことでも知られる。2011年に79歳没。アルコール依存症と処方薬乱用のほか、様々な健康問題を抱えていたというけれど、その割に長生きしているなあ、とは思う。

○林葉直子
 元女流棋士。90年代に不倫やら失踪やらヘアヌードやらで世間を騒がせた人。その後自己破産。今年になって、8年前から重度の肝硬変であることをテレビ番組で公表した。46歳とは思えない現在の変貌ぶりには確かに驚く。

○中川昭一
 元自民党衆議院議員。父は元閣僚の政治家・中川一郎。自身も閣僚を歴任したほか、党政調会長を務めた。2009年2月にローマで行われたG7財務相・中央銀行総裁会議の記者会見に酩酊状態で出席、バッシングを浴びて財務大臣を辞任した人。同年10月、自宅寝室で倒れているところを発見されたが死去、56歳。遺族によって発表された死因は急性心筋梗塞。院長曰く、この中川昭一こそが「ACの典型なのでは」とのことだ。


 ACとは『アダルトチルドレン』の略で、AAのミーティングでもこの話題は何度か登ったことがある。両親のうちのどちらか、あるいは両方を依存症者に持ち、自身も同様の依存症者になってしまった患者のことだ。中には幼少期に虐待を受けたりするケースなど、程度の差はあるが、アルコール依存症患者は圧倒的にこのACであることが多い。僕は虐待など受けていないしあまり認めたくはないが、少なからずそのうちのひとりといえる。

 院長によると、ACのケースでは、酒飲みの親に怯えて育った子供が「極端ないい子」になろうとするか、「極端な悪い子」になろうとする傾向があるという。
 中川昭一の場合、大物政治家の2世として生まれた「宿命」に加えて、酒豪でも知られたという父親の影響は何かしらあったのではないだろうか。東大を出て父の地盤を継ぎ、大臣にまで登りつめたが、本当のところは父親のような酒飲みにはなりたくなかったのかもしれない。
 …というはあくまで院長の推測だが、中川昭一という人の辿った人生が、ACの問題と結びついていることは、僕にも疑いのないような気がする。

 僕は今日の学習会を、前から2列目の端の席で聴いていた。最前列中央には和代さんが陣取り、冒頭いきなり院長に「待ってました!」と芝居見物のようなエールを送って熱心に聴いていたようだが、僕はこのあと最後まですっかり熟睡してしまった。
 こうして僕のARP学習会、全11回は終了した。


 夕方の自助グループは、西町教会のAA「カッコー」に参加した。利根川さん、山形さんもミーティングに向かったが、僕は優二さんと一緒に会場へ足を運んでいた。
「まだ時間があるから、ショッピングモールで人間観察していこう」
 らしくないことを提案されたが、言われる通り1階売り場のベンチにふたり並んで腰かけた。優二さんは明日、主治医である院長の回診だ。仕事が決まらない以上、9日に退院するのは不安なのだろう。「退院が延びるかも」と言っていたが、それを望んでいるように僕には思えた。
 沈黙が続いたので、何の気なしに言った。
「…酒飲んでた頃、こうやって人を見ていると、自分以外のすべての人が自分より幸せそうに見えてました」
「そういうことをミーティングで話せばいいんだよ。笑いとろうなんていらないから」
 意外な答えが返ってきた。ミーティングの席で話す際、笑いに執着しているつもりはないのだが、ノープランでだらだら喋ることには抵抗がある。というか、それができない。退屈しているんじゃないか。シラけた雰囲気になったんじゃないか。周囲の反応を気にしてしまうのだ。嘘をついているわけでも、気取っているわけでも、隠したい何かがあるわけでもない。これが今現在の僕なのだ。
 でも、ここで優二さんに反駁しても仕方がない。僕は僕で、今できることをするだけだ。

 AAの場では、少しずつ人の輪に入っていけるようになっているかもしれない。「オオタカ」のナホさんは、ほかのグループのミーティングにも足繁く通っているので顔を合わすことが多い。今日も参加していた彼女に、みんなで帰る道すがら少し話をすることができた。
「ナホさんは今、外来でカウンセリングを受けてるんですよね。僕も院内で受けてるんだけど、なんだか感じがつかめなくて。患者が一方的に喋るカウンセリングでもいいんでしょうか?」
 我ながら、変てこな質問だとは思う。
「私も、自分のことをたくさん喋ってますよ」
 ―― これでいいのか。そりゃそうか、患者は俺なんだ。
 少し安心した。何よりも、こうしてAAで知り合った方と話せることに嬉しさを感じていた。


※文中における、病院および病院関係者氏名・団体名、地名等については、すべて仮名とさせていただいています。


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【ジャンル】:心と身体 【テーマ】:禁酒
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