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2014-07-23 00:34 | カテゴリ:AA
(※スリップから12日目)
 6月が始まった。そんなこととは関係なく、今日こそはどこへも行かず、何もない一日だ。
 夕方、金曜から自宅へ外泊していた勝瀬さんが戻って来たが、「俺の居場所はなかった」と相当な気の落としようだった。
 午後6時からのAA「アカゲラ」のミーティングには参加した勝瀬さんだったが、とても話をする気分ではないと発言を辞退していた。また、米窪さんは体調不良で中座した。点滴の薬が合わず、なんでも血糖値が急低下したらしい。

 そんな今日のAAミーティングのテーマは『最初の1杯』についてだ。僕は自慢じゃないが「今日は1杯でやめておこう」などと思ってお酒を飲んだことなんかない。最初から、終点なんて考えずに飲むのだ。「1杯でやめようと思っても、やめられない」というスーダラ節そのままの、依存症者のスリップとは一見違うようだが、コントロールが利かないことが分かっていて開き直っているだけなので、本質的には何も違いはない。

 僕はテーマから離れて、父と母のことを話した。
 退院後に僕が帰る場所は、両親のいる実家だ。僕が大阪からこの街の両親のもとへ戻ったのは4年前だが、現在の実家は僕が大阪にいる間に父と母が老後のために買って移り住んだマンションで、僕には何の思い出もない。実質的に居候している状態だ。一日も早く実家を出て、近くのワンルームあたりで独り暮らしをしたいが、お酒に依存して経済的にも自立していない僕は、恥ずかしながら当面は今まで通り実家に世話にならなくてないけない。
 父の健康は心配だが、僕のために父がお酒をやめることを強いるのは見当違いだし、父が僕に気を使う必要もない。僕の入院費用を負担してくれているのは父だし、自分が飲んでいても父が僕に「飲むな」と言うことは許されるはずだ。そもそも父もアルコールに依存しているのは間違いない。僕がお酒と距離を置いたからといって、父も簡単にそれに合わせられるものではないだろう。
 ただ、父は父なりに、自分がお酒を飲むことが僕の依存症回復の妨げになるのではないか、と悩んでいるのではないだろうか。

 少しずつ1クールの終了が近づいてきた患者は、退院後の生活の不安が如実になってくる。そんな患者にとっての課題は「いま飲まないこと」ではなく、「退院後にどう飲まずにいられるか」だ。家族の中で、職場の中で、あるいはまったく新しい環境の中で、それが試される。そして残念ながら、多くの人がスリップを繰り返してしまうのが現実だ。
 少なくとも僕の場合は、父と母のいる実家に帰り仕事に復帰して、一見元の生活に戻ったとき、「お酒に依存しない」という新しい生活を始めなければならない。そのためには、僕の弱すぎるココロを少しでも強くしていく鍛練が必要なのだと思う。

 AA終了後、グループの方から声をかけていただいた。
「ご家族がお酒を飲まれるのは大変な環境ですが、頑張ってください」
 改めて思った。やっぱりこれは、僕の問題なのだ。勝瀬さんも米窪さんも、この病棟のすべての患者が、それぞれ自分の問題に悩み、苦しんでいる。麻友美さんもそのひとりだ。
 ひとりで背負い込み過ぎないよう、自助グループで胸の内を吐き出すのは意味があることだけれど、誰も答えを示すことなんかできない。

 でも、悩みを共有することはできる。AAで言うところの『分かち合い』だ。
 ミーティングの最後に、進行役の60歳前後の男性が言った。
「私は酒のことで兄との喧嘩が絶えません。兄は1杯でちゃんとやめられます。ところが私は、その1杯から始まるんです」
 僕も「その1杯」から始まるクチだ。痛いほど理解できる。


※文中における、病院および病院関係者氏名・団体名、地名等については、すべて仮名とさせていただいています。


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【ジャンル】:心と身体 【テーマ】:禁酒
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