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2014-05-21 21:05 | カテゴリ:入院食

「瞑想」は土日はお休みだ。昨日父に持って来てもらった充電器のおかげで、携帯は心配ない。

 僕のアルコール依存を心配してくれている女友達に、入院したことをLINEで伝えた。安心した、3ヶ月は長いけど頑張れ、と励まされた。僕が連絡をするような相手は、彼女しかいない。
 あとはただ、ベッドで『鬼平犯科帳』――

 朝食は午前7時45分、昼食は正午、夕食は午後6時に、病棟廊下に運ばれて来る配膳ワゴンから、自分の名前のプレートが載ったトレーを各自で取りに行く。
 患者の症状にもよるだろうが、プラスチック樹脂のトレーには、ご飯の丼、メインのおかず、お椀、小鉢といったものが並ぶ。至って普通の入院食だ。だから、朝食には決まって牛乳が付いており、昼食の際はメニューの趣などに構うことなくバナナがごろんと、トレーの端に無造作に置かれていたりして、なおいっそう「入院食感」を演出している。

 入院してから既にたった5食で、これから続く長い長い入院食生活に諦めを感じていた。もともと歯の調子も悪かったし、さしたる期待もしていなかった。
 が、今日の昼食は、あんかけ焼きそば。
 いきなり期待度高し。とはいえこんな、ビールでも飲みたくなるようなメニューでいいのだろうか。
 デイルームには共用電子レンジもあるから、病院食の欠点のひとつ「冷めてる」はこれでカバーできる。早速活用している患者もいる。また、共用で醤油やアジシオ、コショウ、一味といった程度の調味料も置いてあるので、自分好みにワンポイントな味付けを施すこともできる。一般的な入院食との違いだ。
 僕は、あんかけには適度な酢が欠かせない『酢たらし派』なので、ひょっとしたらと思い恐る恐る物色してみたが、さすがに酢はないようだった。
 そりゃ酢は贅沢というものか、と自分に言い聞かせ、配膳ワゴンから自分のトレーを取りに行く。トレーはデイルームへ持って行ってテーブルで食べてもいいし、自分のベッドで食べてもいい。
 僕はもちろん頑なに、自分のベッドで猫のように食べる。カーテンを閉ざして。

 さて、『酢たらし』こそ叶わないもの、入院食でのあんかけ焼きそばとは?
 期待と興味と不安にかられて器のフタを持ち上げた途端、衝撃が走った。
 ―― あんがない。
 文字にすると何かヘンだが、事実「あんかけ」の「あん」がかかっていないのだ。目を疑いながらとりあえず食べてみると、
「ん?」確かにあんかけ焼きそばの味が…することはする。「あん」も麺に絡んでいる。
 ―― あんはあるよ。
 そこで気がついた。これは「あん」が麺に混ざりきっているのだ。運搬中に奇跡の攪拌が起きたはずもない。これは調理の段階で、まるで『一平ちゃん』のからしマヨネーズを無粋にもトップギアから絡め散らすかの如く、徹底的に「あん」を麺およびその他の具に混ぜ合わす工程が存在している。なぜ?
 ①「あん」を喉に詰まらせないための配慮 → ここは高齢者施設ではない。それならそもそもメニューに出すな。却下。
 ②「あん」が飛び散って汚い → 患者をナメてる。もっとキレイに食える。却下。
 ③「あん」のとろとろが、飲酒欲求を誘発する → だからそれなら出すなよ。これも却下。
 ④混ぜたほうが、美味しい → …うーむ。

 確かに、よく噛んで食べてね。って思いが込もっている気がしないでもない。


 僕が衝撃を受けたあんかけ焼きそばより、ほかの患者の多くが興味を注いでいたのは、夕食のカツ丼だった。
 昼も過ぎたあたりから「今夜はカツ丼だよ」「カツ丼っていってもねえ…」「どうせ薄いんだよ」「ハムだよ」などと、ある種どこか牧歌的で微笑ましい、至って呑気な会話か聞こえる。
 ただ、僕はこのカツ丼に関しては、始めから完全に期待のスタメンから除外していて、せいぜい二軍落ちしないでいてくれよ程度にしか考えていなかった。侮ってはいけない「入院食」。そこに満を持して、丼界の王道たる「カツ丼」が名を連ねるのだ。
 ―― 肉が厚かろうわけがない。多かろうわけがない。衣がサクサクであろうわけがない。ハムはまさしくいい例えだ。完全にアウトだが魚肉ソーセージも疑わねば。
 と、まあこれくらい精神的にネガティブバリアを張っておけば、期待を裏切られたところでがっかりすることもあるまい。

 午後6時。そういう殊勝な心持ちで「カツ丼」を銘うたう丼のフタを持ち上げた途端、僕はいきなり動揺した。
 カツは細く、薄く、硬く、主役の体をなしていない。それは想定していたことだが、卵がすべて、まさかの「そぼろ」だった。
 カツ丼なのに。

 食後、喫煙室で語られる夕食の話題。
「やっぱり薄かったね」「3枚だけ」―― 肉以外の感想は皆無だ。みんな知っているのだ。入院食の卵に『ふわとろ』はあり得ないということを。入院ビギナーの僕が迂闊だったのだ。

 食事の献立は、デイルームに数日分が貼り出してあるので前もって確認できる。疾病や疾患などによる制限で別メニューの患者もいるが、僕は今のところ通常食だ。
 早くも来週、23日の昼食「ビーフカレー」に着目している。期待しない程度に。


※文中における、病院および病院関係者氏名・団体名、地名等については、すべて仮名とさせていただいています。


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【ジャンル】:心と身体 【テーマ】:禁酒
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